クエスト「エピローグ」9
魔王化の対策は…
ヒラミレモンを食べさせてもなんの変化ももたらさず、美樹の要る客室で健太郎はただ美樹の名前を呼ぶだけです。
パットンが、もしこのまま美樹が魔王に覚醒した場合どうなるかを、ベゼルアイに聞きます。その場合は、現在人類は魔軍に勝って魔物を人間界から追い返しましたが、また振り出し……、いいえ、もっとひどくなるわね、とさらにひどい状況になるとベゼルアイは言います。
クリームは、美樹はとても優しい子で、それほど悪くなるようには私は思えないと言いますが、ベゼルアイはクビを横に振ってその可能性を否定します。
既にここまで魔王化を防ぎ続けてきたことが異常事態なのよ、あの子は長く魔王の覚醒を拒んできた。おそらく一度覚醒してしまえば、もう歯止めがきかない、とベゼルアイは魔王に覚醒すると魔王の本質である破壊と殺戮に目覚めてしまうだろうと言います。そして、特に人類に対しては破滅的な攻撃をしかけるだろうと、ベゼルアイは推測します。
そして、魔王はこの地上で最強の存在、これまでに魔人を倒し続けたランス君でも、到底敵いはしないわ、とランスでも魔王には到底勝てないと言います。
覚醒した場合……、もう人間に打てる手は……、とアールコートは魔王に覚醒したら人間に打てる手はないと言うと、パットンは覚醒する前に何か対策はないか、ベゼルアイに聞きます。
魔王に覚醒する前に美樹を…
魔王に覚醒する前、力に目覚めていない今のうちに、美樹ちゃんを……、とそこまでベゼルアイは言った後、殺す、という言葉をベゼルアイは使いませんでした。
ただ、それをするのに一番の問題は……、今この場でそれが可能なのは、ランス君と健太郎君だけなことね、とベゼルアイは言い、続けてランスと健太郎が美樹を殺すという手段に、首を縦に振らないだろうな……、とパットンは言います。
打つ手なしの状況に、クリーム、アールコート、ウルザ、三人の参謀も、これはかなり、辛いですが……、と呟くしかなく、ただ統計だけが雄弁に喋り、時を刻み続けるのみです。
このまま死刑宣告を待つしかない状況に、パットンは苛立ち、こんなのどうしろってんだ!と怒鳴ります。
ミラクル、重荷を引き受ける
その時、ミラクルが現れて、その重荷、余が引き受けようと、と言い自分の魔王に対する考えを話し始めます。
魔王は消滅しない、としばらくの間、魔王について調べた結論を言います。魔王というものは、網が死んでもまたどこかの誰かに力が引き継がれるものらしい、と魔王の力は常に誰かに引き継がれるという考えをミラクルは説明します。
そして美樹から話を聞いて分かった事として、その力の引き継ぎは魔王自身の意思によっても行えるようだ、とミラクルは言います。ただ、力を引き継げるのは特殊な力を持つ者だけらしいがな……、とミラクルは説明を付け加えます。
魔王が代わるだけじゃ、なんの意味もないんじゃ……、とパットンが言うと、余が魔王となり、余の意思によって魔王の力を抑えつける、とミラクルは自らが魔王の力を引き継いで魔王になると言います。
ただ、上手くいくかは分らんが……、それしかあるまい、とミラクルは言い、自信もうまくいく保証はない事を付け加えます。
まとめ
美樹の魔王化を止めることはもはや無理のようで、さらに美樹を魔王にする前に殺せば当面の危機は脱しますが、ランスと健太郎がその方法に同意するのも無理そうです。打つ手なしの状況に、時間だけが進んでいきますが、そこにミラクルが現れて自分が魔王になると言い、魔王の力を美樹から引き継ごうとします。が、ミラクル自身も上手くいくか分からないと言っていて、どうなるかはやってみないと分からないようです。
次回、ミラクルは美樹から魔王の力を引き継ごうとします。
前回の記事です。
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