クエスト「エピローグ」10
ミラクルに魔王の力を渡す
魔王の力を美樹から引き継ぐことに関して、ミラクルは美樹に同意を求めます。美樹は上手く喋ることが出来ませんが、朦朧とした頭でゆっくりと首を横に振り、魔王の力をミラクルに引き継ぐことを拒否します。
美樹は、魔王の血をミラクルに入れたらミラクルが自分ではいられなくなると、ミラクルの身を案じての拒否でしたが、一瞬の間の後、ミラクルは大口を開けて笑います。
大声で笑い、異世界の小娘が大きなことを言うではないか!と美樹の事を笑います。そしてひとしきり笑った後、ミラクルがどこか優しい顔で美樹の頭を撫で、いつか行ったセリフを口にします。
この世界は余のもの、異世界から来たお前らは、余の客人だと、ミラクルは言い、客人をもてなすのは主である余の義務、お前は引け目を感じる必要はない、と美樹が引け目を感じ遠慮する必要はないと断言します。
それでも拒否しようとする美樹に、ミラクルは勘違いするな、これはお願いではない、命令だ、といつもの口調で美樹に自分に従うように命令します。
ミラクル相手に拒否する事を諦めたのか、美樹もいつもの調子でうん…、わか、った…、とミラクルの提案を受け入れて、頷いた後、美樹が体を起こします。
体を起こした美樹ですが、呼吸は荒く苦しそうです。しかし、美樹がミラクルの顔を優しく両手で挟むと、途端に雰囲気が一変します。
魔王リトルプリンセスの力
魔王リトルプリンセスとしての雰囲気となり、周囲は呼吸すら忘れ、固唾を呑んでその光景を見守ります。その時、魔王リトルプリンセスが、ミラク、ル…、こちらを、見な、さい…、とミラクルに語りかけます。
そして、魔王リトルプリンセスから力が噴出し始め、さらに魔王リトルプリンセスは、私を見るのよ……、とミラクルに命令口調で話し続けます。何かが弾ける音が響いた瞬間、膨大な力の奔流が美樹の口から溢れ出します。
これこそが、魔王の血、そして魔王の力そのものです。美樹がいつもこんなものを内に抱えていた事に、ウルザが驚きます。魔王の血が美樹の口から溢れ、ミラクルの口内へと飛び込んでいきます。
ミラクルが叫び声をあげ、心臓をおさえ、のたうち回ります。その声はまるで地獄から響いてきたように、どこまでも低く、そして威圧的です。
そしてミラクルの叫び声が続いた後、ミラクルの体が裂けます。少なくとも周りで見ている人間にはそうとしか見えなかったようで、体の至る血管から魔王の血が飛び出し、それが周りには体が裂けたように見えたのです。
なる、ほど…、これが、魔王の、血か……、と血だらけのミラクルが上半身を起こしながら言います。パットンがミラクルの怪我を見て、ヒーラーを呼ぶように言いますが、ミラクルは怪我を気にせずに、もう一度力の引き継ぎを行おうとします。
まとめ
美樹の魔王の力をミラクルに引き継ごうとしてますが、魔王の血、魔王の力を引き継ぐことはかなり無理があるようで、ミラクルの口内に魔王の血が入っていきますが、すべて完了する前に、ミラクルの体中から魔王の血が飛び出してしまい、失敗します。ミラクルはもう一度同じようにするように、美樹に言いますが、もう一度やっても成功する確率はかなり低そうです。
次回、月光は自分の責務を全うするため、行動に移します。
前回の記事です。
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