クエスト「エピローグ」14
ランス城に、笑い声が響く
ランスが魔王の血の継承を受けた後、ランス城に濁った悲鳴が廊下にまで轟きます。血の継承を受けてから一時間、ランスはずっと自室で心臓を抑えてもがき続けていました。いつまでもランスの悲鳴は続き、終わりなど来ないかのようにです。
そして、ランスは魔王になります。
がーーっはっはっはっはっはっはっはっ!、とランス城にランスの笑い声が響きます。それが悪しきたくらみを含む笑い声なのか、それともいつもの陽気な笑い声なのか、それは誰にも分かりません。まだ誰にも。
魔王ランス、そしてその臣下達
ランス城の玉座に一人の男が腰を下ろしています。それだけならば、なんら不思議ではない光景ですが、今は普段とはまったく違うものになっています。一つ目に、その場に奴隷のシィルがいないこと。二つ目に、玉座の間にはずらりと魔物界の重鎮が居並んでいること。
三つ目に、魔人がかしずいていることです。その魔物達の中から一匹のアカメ、今はランスに仕えている、学者が前に出ます。新たな我らが王、その誕生を、皆を代表して心よりお祝い申し上げます、とランスにお祝いの言葉を述べます。
本日をもって……、我ら魔に属する全ての生き物は、貴方に忠誠を誓う、貴方のしもべとなりました、その後学者がその新たな主に向けて顔を上げます。
魔王ランスよ、と魔王となったランスに言葉をかけます。人をやめ、魔王となったランスが、学者の言葉に鷹揚(おうよう)に頷きます。
魔王となったランスは力を確かめるように、これが魔王の力、か……、悪くない、と魔王の力に満足するように呟きます。
それから学者は話題を変えて、反逆者ケイブリスが起こした戦争は、人間だった頃のランス様の勝利で終わりました、と学者は突然、第二次魔人戦争について話し始めます。さらに続けて、しかし、今やランス様は我ら魔物の長、そして魔と人の間に結ばれた終戦協定などまったく意味なきこと……、と魔物と人類との終戦協定が今は意味をなさないと学者は言います。
ランスが、何を言いたい?と学者に問いかけると、いかがでしょう、今すぐ皆に人間界に攻め込めと命じるのは、と人類側に再び攻め込めと学者は言い出します。
魔と人の戦い、これこそ魔物の本懐にして幸福、と学者は魔物の本質は戦うことで、それこそが魔物の幸福だと言います。
そして、我ら、必ずや人間共を殲滅し、魔王様の前に全てを持ち帰ることを約束しましょう、金品で、美食で、そして、美女で、この城を埋め尽くしてみせましょう、とランスが好きそうな美女も含めて言い、全てを持ち帰ってランスに捧げると学者は言います。
まとめ
ランスは魔王の血の継承を行い、ランスも魔王の血を体内にいれて一時間ほどは、かなり苦しめられたようですが、その後はあっさりと魔王の血の継承に成功し、魔王になってしまいます。
そしてランス城にて魔王ランスとなり、終戦協定など今となっては意味がないから、終戦協定を無視して人間界に攻め込みましょうと、学者から言われますが、ランスは何と返すでしょうか。美女でランス城を埋め尽くすとか、ランスの好みそうな目的ですが果たしてどうなるでしょうか。
次回、魔王になったランスに魔物達は期待しますが…。
前回の記事です。
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